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レミノ再建はWOWOW流で動くか 会員を増やす前に整えたいこと

VOD COMPASS / FIELD NOTE

レミノ再建はWOWOW流で動くか 会員を増やす前に整えたいこと

ドコモの動画配信レミノがWOWOW流の運営で立て直しを図る。ネットフリックスとの差、作品の絞り込みと会員の囲い込みという戦い方、他の業界にも通じる教訓を解説する。

ニュースの概要

NTTドコモが運営する動画配信サービス「レミノ」が、WOWOWの運営手法を取り入れて立て直しに動いていると日本経済新聞が伝えた。世界最大手のネットフリックスとは会員数でも投資額でも大きな差があり、同じ土俵で追いかけるのは難しいという見立てである。そこで、作品数を競う戦い方から離れ、有料放送で培われた「見たい人に深く届ける」やり方へかじを切る。携帯電話の契約者という強い顧客基盤を持ちながら、動画では伸び悩んできたドコモが、どこまで巻き返せるのかが焦点になる。

引用元: ドコモの動画配信レミノ、WOWOW流で立て直し ネトフリの背中遠く(日本経済新聞)

分析・見解

世界規模の相手と同じ戦い方では勝てない

ネットフリックスは世界で3億人近い会員を抱え、年間の制作費は2兆円規模とされる。一本の作品に何十億円もかけ、それを世界中の会員で割って回収できるからだ。日本国内だけを市場にするレミノが、同じ金額を投じても回収は見込めない。

つまり、レミノの課題は「作品が足りない」ことよりも「規模の差を前提にした戦い方を選べていない」ことにある。ここを見誤ると、赤字を重ねたまま会員が増えない状態が続く。

WOWOWが育てた「少数でも手放さない客」という発想

WOWOWの会員数は250万人前後で、ネットフリックスの国内会員よりずっと少ない。それでも黒字を保ってきたのは、ドラマやスポーツ、音楽ライブなど、熱心なファンが付く分野に絞って作品を磨いてきたからだ。連続ドラマW のように、作り手の個性が出る作品は「あの局でしか見られない」という理由になる。

ここで大事なのは、会員を増やす力よりも、解約させない力である。月額課金の事業では、毎月わずかな人が辞めるだけで、一年後の会員数は大きく変わる。月に3%解約が出ると、一年で約3割が入れ替わる計算だ。WOWOW流の肝は、この出口をふさぐことにある。

ドコモの強みは、料金と動画が一つの請求書に載ること

独自の視点を一つ挙げたい。レミノの最大の武器は、作品の質より「支払いの手間がない」ことかもしれない。ドコモの携帯料金と一緒に払える仕組みは、新しいアプリに登録するときの心理的な壁を下げる。一方で、手軽に入れる分、手軽に辞められるという弱点もある。

だから、携帯のポイントや通信料金とのセット割で入口を広げつつ、独占作品で居続ける理由をつくる、二段構えが必要になる。入口は通信会社の得意技、中身は放送局の得意技という分担だ。

日本の他社事例が示す、勝ち筋と落とし穴

日本ではU-NEXTが映画やアニメ、雑誌を一つの会員にまとめ、一人あたりの単価を上げる道を選んだ。ABEMAは無料の視聴で広告収入を取る道に進んだ。いずれも「ネットフリックスの真似」を避けている。

逆に、総合型を目指して作品数だけ増やした国内サービスは、利用が伸びずに撤退や統合に追い込まれた例が多い。レミノが今回選んだ絞り込みは、こうした先行事例とも筋が合う。ただし、絞った分野に魅力がなければ、ただ小さくなるだけである。今後は、数字としての解約率と、作品ごとの視聴の深さを公表できるかが、本気度を測る目安になる。

ビジネスへの影響

月額課金の事業は「入口」より「出口」の設計で差がつく

レミノの動きは、動画配信に限らず、会員制の事業すべてに通じる。新規会員の獲得費用は、既存会員を引き留める費用の数倍かかるといわれる。広告で人を集めても、使い続ける理由がなければ穴の空いたバケツに水を注ぐのと同じだ。

自社の会員制サービスや定期購入について、まず直近一年の解約率と、解約の直前に何が起きていたかを調べてほしい。使わなくなった、値段が高い、他に乗り換えた、のどれが多いかで、打つ手はまったく変わる。

大手の土俵を避け、専門性で選ばれる位置を探す

資金で勝てない相手に、同じ規模の勝負を挑むのは危うい。WOWOWが映画やドラマの一部に集中したように、中小企業も「この分野ならあそこ」と思われる狭い領域を決めたほうがいい。品ぞろえを増やすより、一つの分野で深く役立つほうが、価格を比べられにくくなる。

また、既存の顧客基盤を持つ会社が新規事業を始めるときは、料金の一本化やポイント連携のような、既存顧客に近い入口を使うと立ち上がりが早い。ただし入口の便利さだけに頼ると、辞めるのも簡単になる。入口と中身の両方を設計できているかを、事業計画の段階で点検しておきたい。

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